
オフィス環境改善と聞くと、机や椅子、レイアウト変更を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし社員が毎日浴び続けている「光」こそが働きやすさを大きく左右します。照明は単なる設備ではなく、生産性・健康・コミュニケーション・企業イメージ・コスト削減に直結する経営資源です。
神戸や阪神間の企業では、築年数の古いビルを使い続けているケースも多く、暗い蛍光灯やちらつく照明が社員の疲労や集中力低下を招いている事例も。逆に照明を改善すると、その効果を感じやすいケースもみられます。例えば、机上が明るくなることで集中力が上がり、会議室の照度改善で議論が活発になり、休憩スペースを電球色に変えると自然と会話が増えるなどの効果が期待できるのが照明改善です。
さらにLED化による電気代削減や寿命延長は、省エネ・コストダウンの両立につながり、SDGsやESG経営への対応にもなります。加えて、明るく洗練された空間は来客や採用応募者の印象を高め、企業ブランドの強化にも直結します。
本記事では、照明がもたらす具体的なメリットや計画時のポイント、器具ごとの特徴、工事で注意すべき点、省エネ効果、ウェルビーイングへの活用、そして神戸・阪神間で施工する際のメリットを事例を交えて解説していきます。照明は目立たない存在ですが、小さな改善が社員の働き方を大きく変えるものです。
照明がもたらす5つのメリット
オフィス照明は「とりあえず明るければいい」と思われがちですが、実は企業活動に直結するさまざまな効果を持っています。照明改善は少ない投資で大きなリターンを得られる手段ですので、ここでは、照明がもたらす代表的な5つのメリットを詳しく見ていきましょう。
1. 生産性の向上
社員が一日の大半を過ごすのはデスクワーク環境です。ところが、古い蛍光灯のままでは机上の照度が500ルクス以下になっていることも珍しくありません。必要な明るさは700〜1000ルクスとされ、これを満たすことで文字が読みやすくなり、PC画面もクリアに見えます。
実際に、執務室の照度を上げただけで「午後の眠気が軽減された」「作業効率が上がった」と社員が実感したという事例もあります。ミスの減少や作業スピードの改善は、残業時間の削減にも直結します。照明は目に見えない形で生産性向上効果をもたらすのです。
2. 健康促進と疲労軽減
高色温度の照明を導入した研究では、集中力が36%向上し、疲労感は27%減少、昼間の眠気も31%減少したと報告されています。さらに自然光に近い照明を整えたオフィスでは、従業員の睡眠の質や日中の活動量が改善したという結果もあります。
一方でブルーライトを過剰に浴び続けると眼精疲労や睡眠障害のリスクがあると指摘されており、光環境を適切に整えることが社員の健康促進と疲労軽減に直結することが科学的に裏付けられています。
3. コミュニケーションの活性化
光は人の心理にも作用します。冷たい白色光ばかりの会議室では、発言がしづらく空気が硬くなりがちです。反対に、温かみのある電球色を打ち合わせや休憩スペースに取り入れると、雰囲気が柔らかくなり、自然と会話が弾むようになります。
4. 企業イメージの向上
オフィスを訪れた取引先や求職者にとって、最初に目にするのは受付や会議室です。そこが暗く古びた蛍光灯のままでは「時代遅れ」「管理が行き届いていない」といった印象を与えかねません。
採用活動においても、明るく清潔感のあるオフィスは「ここで働きたい」と思わせる重要な要素です。特に若手人材は職場環境を重視する傾向が強く、照明改善は人材確保にも効果的です。照明は見えないブランディングツールでもあるのです。
5. コスト削減と環境配慮
最後に見逃せないのがコスト削減効果です。LEDは従来の蛍光灯に比べて消費電力が約半分。寿命も40,000時間以上と長いため、交換頻度やメンテナンスコストも減ります。
蛍光灯からLEDに全面切り替えた結果、年間の電気代が大幅な削減が期待できます。さらに発熱が少ないため、夏場の空調効率も上がり二重の省エネ効果が得られます。
また、LED化はSDGsやESG経営への対応としても注目されています。省エネ対策を進めている企業は、取引先や顧客から「環境配慮に積極的」と評価されやすく、社会的信頼を得ることができます。
照明計画の3大ポイント
オフィスの照明を考えるとき、大事なのは「ただ明るければいい」ではなく、働く内容や場所ごとに合った光を用意することです。実は照明の計画にはいくつかのコツがあり、それを押さえるだけで仕事のしやすさが大きく変わります。ここでは特に重要な3つのポイントを紹介します。
1. 照度(明るさ)
照度とは「どれくらい明るいか」を表すものです。数値でいうとルクスという単位を使いますが、覚えておくべきは「作業内容ごとに適した明るさがある」ということです。
- デスクワーク:新聞の文字がはっきり読めるぐらいの明るさ(おおよそ700ルクス以上)
- 会議室:相手の表情がきちんと見えて、資料も読みやすい程度(500〜700ルクス程度)
- 休憩室やリラックススペース:少し落ち着けるような柔らかい明るさ(300〜500ルクス程度)
よくある失敗が「部屋全体は明るいのに机の上は暗い」というケースです。これだと自然と前かがみになってしまい、目や肩に負担がかかります。机上面の明るさを確保することが、社員の疲れを減らす第一歩です。
2. 色温度(光の色味)
光には「青白い光」「オレンジっぽい光」など、色の違いがあります。これを「色温度」と呼び、用途によって最適なものがあります。
- 青白い光(昼白色):頭をすっきりさせ、集中力が必要な仕事に向く
- 温かみのある光(電球色):落ち着いた雰囲気をつくり、リラックスや会話を促す
- その中間(温白色):どちらにも使えるバランス型
例えば、集中が必要なデスクや作業スペースには白っぽい光を、休憩室や応接室には暖かい光を使うと効果的です。最近では1つの照明で色を変えられる「調色機能付きLED」もあり、時間帯や用途に合わせて切り替える会社も増えています。
3. 演色性(色の見え方)
少し耳慣れない言葉ですが、演色性とは「物の色がどれだけ自然に見えるか」という指標です。数値で表され、太陽光に近いほど色が正しく見えます。
例えば、製品サンプルを確認する場面で照明の演色性が低いと「実際の色と違って見える」ことがあります。印刷物や服の色を扱う業種はもちろん、営業資料やプレゼンの場面でも色がくすんで見えると説得力が下がってしまいます。一般的なオフィスでも、演色性が高い照明=明るくきれいに見える照明を選ぶことをおすすめします。
照明器具の種類と特徴
オフィス照明と一口にいっても、器具の種類によって効果や雰囲気は大きく変わります。ここでは代表的な6種類を取り上げ、それぞれの特徴とオフィスでの活用例を分かりやすく解説します。
1. シーリングライト

天井に直接取り付ける、最も一般的な照明です。広い範囲を均一に照らすことができ、コスト面でも導入しやすいのがメリットです。小規模なオフィスや会議室などでよく使われます。
ただし、光が一方向から全体に広がるため、デスクごとの明るさを調整しにくく、単調な空間になりがちです。「とりあえず明るくしたい」というときには便利ですが、メリハリを出したい場合には他の照明との併用がおすすめです。
2. ダウンライト
天井に埋め込んで設置するタイプで、空間をすっきりと見せられるのが特徴です。光が下方向に集中するため、必要な場所をピンポイントで照らすのに向いています。
エントランスや応接室、廊下など「第一印象を大切にしたい場所」におすすめです。間隔を工夫して配置すれば、陰影が生まれ、空間全体に高級感を演出できます。
3. スポットライト

角度を自由に変えられるのが大きな特徴です。掲示板や展示物、製品サンプルなど「見せたいもの」に光を当てるのに最適です。
デザイン会社では、壁に飾った作品や模型をスポットライトで照らし、来客に強い印象を与えています。演出効果が高いため、ショールームやクリエイティブ系オフィスと相性が良い照明です。
4. ペンダントライト

天井から吊り下げるタイプで、光が下に集中しやすいのが特徴です。デザイン性が高く、取り入れるだけで空間の雰囲気が変わります。
休憩室やカフェ風の打ち合わせスペースなどに設置すると、リラックスできる空気感をつくり出せます。社員が気軽に集まり、会話やアイデア交換が生まれるきっかけにもなるでしょう。
5. 間接照明
光源を壁や天井に反射させて使う照明です。柔らかい光で空間全体を包み込み、落ち着きや高級感を演出できます。
応接室や来客スペースに導入すると「洗練された印象」を与えやすく、企業ブランドの向上にも役立ちます。直接光が目に入らないため、リラックス効果があるのも魅力です。
6. タスクライト(デスクライト)
個々のデスクに置いて、手元を照らす補助用の照明です。全体照明だけでは明るさが足りないときや、細かい作業をする社員にとっては非常に便利です。
全般照明と組み合わせることで「必要な部分だけ明るくする」ことができ、社員ごとに快適な環境を整えられます。
照明工事で気をつけること
オフィスの照明を入れ替える際には、器具を選ぶだけでなく工事の進め方にも注意が必要です。特に神戸や阪神間の中小企業のオフィスは築年数の古いビルが多く、思わぬ落とし穴が潜んでいることもあります。ここでは、工事を依頼する前に押さえておきたい主なポイントを整理します。
1. アスベスト検査の必要性
最も注意が必要なのは「アスベスト」の問題です。2006年9月以前に建てられたビルでは、天井材や壁材にアスベストが含まれている場合があります。照明工事で天井に穴を開けたり、器具を撤去したりする際に粉じんが飛散する危険があるため、事前調査や検査を行うことが法律で義務付けられています。
検査を怠ると施工業者も発注者も法的リスクを負うことになるため、古い建物で工事を検討している場合は必ず確認が必要です。
2. 配線計画の確認
照明を増やしたり高性能なLEDに交換したりする際には、配線や分電盤の容量確認が欠かせません。既存の配線では容量不足となりブレーカーが落ちやすくなるケースもあります。特にOA機器や空調との同時使用が多いオフィスでは、余裕を持った電気容量の確保が求められます。
また、将来的にレイアウト変更を行う予定があるなら、その動線も考慮して配線を計画しておくと、余計な追加工事を避けられます。
3. 停電リスクと工事スケジュール
工事の際には一時的に電源を落とす必要があり、業務が中断されることがあります。多くの企業では夜間や休日に工事を依頼しますが、これには追加費用が発生することもあります。
スケジュールを決める際には、業務への影響を最小限にする工事計画を立てることが大切です。神戸や阪神間の施工業者の中には夜間対応に慣れている会社も多いため、事前に確認すると安心です。
4. 消防法・建築基準法の確認
オフィスの照明を入れ替える際に忘れがちなのが、消防法や建築基準法の基準です。非常灯や誘導灯の位置や明るさには法令で定められた条件があります。照明器具を撤去・移設する際に基準を満たさなくなると、消防検査で不備を指摘されることもあります。
工事を依頼する際は、法令基準に沿ったプランかどうかを必ず確認しましょう。
5. 工期とコストの見積もり
照明工事は「器具代」だけでなく、さまざまな費用が付随します。足場の設置費用、古い器具の撤去・廃棄費用、天井補修の費用など、思わぬコストが積み上がることも少なくありません。
見積もりの段階で「どこまで含まれているのか」を明確にしておくことで、後から追加費用が発生するリスクを減らせます。また、複数社から見積もりを取って比較するのも安心材料になります。
6. アフターメンテナンスの有無
工事は終わればそれで完了、というわけではありません。器具の初期不良や施工後の不具合が出る可能性もあるため、保証期間やアフターメンテナンス体制を確認しておくことが重要です。地域密着の施工業者であれば、トラブル時にもすぐに対応してくれる安心感があります。
オフィス照明の工事は、単に「新しい器具を取り付ければいい」というものではありません。アスベストの有無や配線容量、法令基準、工事スケジュール、コスト管理、アフターフォローまで含めて考えることで、初めて安全で安心な照明改善が実現します。
特に神戸や阪神間の中小企業では、古い建物を利用しているケースが多いため、事前調査と信頼できる施工業者の選定が鍵となります。照明は日々の業務を支える基盤であり、長期的に使うものです。だからこそ、工事段階からしっかりと計画しておくことが、快適で生産性の高いオフィスづくりにつながります。
チェックリスト:あなたのオフィスは大丈夫?
照明の重要性は理解していても、「自分のオフィスが果たして問題ないのかどうか」は意外と分かりにくいものです。そこで、神戸・阪神間の中小企業がすぐに確認できるチェックリストを用意しました。5分間でチェックできる内容ですが、実はそのまま社員の健康や生産性に直結します。もし2つ以上当てはまれば、改善を検討するサインです。
1. デスク周りは十分に明るいか?
新聞や資料がはっきり読めるかどうかを確認してください。特に午後や夕方に「少し暗いな」と感じる場合は照度不足の可能性があります。机上で700ルクス以上が目安です。暗いと目が疲れやすく、仕事の効率が落ちます。
2. 会議室は顔がしっかり見えるか?
会議室が暗いと発言が減り、議論が停滞しやすくなります。相手の表情や資料がきちんと見えるかどうかを確認してください。照明を追加したり、色温度を調整するだけで、会議が活発になりやすくなります。
3. 蛍光灯のちらつきや色ムラがないか?
古い蛍光灯はちらつきや色のバラつきが出やすく、それが頭痛や集中力低下の原因になることもあります。社員が「なんとなく疲れる」と感じている場合は、照明が影響している可能性があります。
4. スイッチでエリアごとに制御できるか?
会議室、休憩室、執務スペースなどを一括で点灯・消灯しているオフィスは、無駄な電力を使っているかもしれません。ゾーンごとに照明を制御できれば、省エネ効果も高まり、快適性も向上します。
5. LED化率は80%以上か?
まだ蛍光灯が多く残っているオフィスは、電気代を無駄にしているかもしれません。LEDに切り替えるだけで電気代を30〜50%削減できるケースもあります。補助金を活用すれば導入コストも抑えられるので、積極的に検討したいポイントです。
6. 色温度が用途に合っているか?
執務スペースは昼白色、休憩室は電球色、といったように「場所に合わせた色温度」になっているかを見直してみてください。すべて同じ色の照明だと、オフィス全体が単調になり、リラックスすべき場所で気持ちが切り替えにくくなります。
7. 演色性(色の見え方)に問題はないか?
製品サンプルや印刷物を扱う業種では、照明の演色性が低いと実際の色味と違って見えることがあります。Ra80以上が標準的な目安です。信頼性を高めたい営業資料や製品展示では特に重要です。
8. 天井材にアスベストのリスクはないか?
築年数の古いビルでは、天井や壁にアスベストが含まれている可能性があります。照明を入れ替える工事の際、事前調査を行わなければ違法状態や健康リスクにつながることもあります。工事前には必ず専門業者に確認しましょう。
9. 照明で「会社らしさ」が出せているか?
受付や会議室の照明は、来客や求職者に与える第一印象を決めます。「暗くて古い印象」になっていないか、「明るく洗練された雰囲気」が出せているかを点検してください。照明は目立たないようでいて、企業イメージを左右する重要な要素です。
照明の状態は普段あまり意識されませんが、実はオフィスの快適性や生産性を大きく左右します。このチェックリストを活用すれば、御社の照明環境に潜む課題を簡単に洗い出せます。
- デスクや会議室の明るさ
- 蛍光灯の老朽化
- LED化の進み具合
- 用途に合った光の色や演色性
- アスベストリスク
- 企業イメージへの影響
どれも経営に直結する要素です。神戸・阪神間の中小企業にとって、照明の見直しは「最小の投資で最大の成果」を得られる取り組みです。小さな改善からでも始めてみることで、働きやすさと企業価値を同時に高めることができます。
まとめ
ここまで、オフィス照明がもたらす効果や、計画・器具選び・工事・LED化・チェックポイントについて解説してきました。振り返ると、照明改善は単なる「電気代削減」や「設備更新」ではなく、社員の働きやすさと企業の未来を左右する経営投資であることが分かります。
照明改善がもたらす総合的な効果
- 生産性の向上:適切な照度は集中力を高め、作業効率を改善します。
- 健康促進:ちらつきや色味を調整することで、眼精疲労や肩こりを軽減できます。
- コミュニケーションの活性化:休憩室や会議室に温かみのある照明を導入すれば、会話が増え、雰囲気が良くなります。
- 企業イメージの向上:受付や応接室を明るく整えれば、来客や求職者に「信頼できる会社」として映ります。
- コスト削減と環境配慮:LED化による省エネ効果は年間数十万〜百万円単位の削減につながり、同時に環境対応企業としての評価も高まります。
これらのメリットは「社員満足度」「取引先の信頼」「採用力」「経費削減」といった経営課題を同時に解決するものです。
オフィスの照明は、毎日の働きやすさや企業の印象を左右する大切な要素です。「ちょっと暗いかも」「電気代を見直したい」と感じられたら、まずは一度相談してみませんか。私たち神戸オフィスデザインでは、現状の診断から最適な照明プランのご提案まで、地域に根ざしたサポートを行っています。お気軽にお問い合わせいただければ、御社に合った改善ポイントを一緒に見つけていきます。